施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN11|返還金が発生した事例紹介 第2弾

平成29年1月10日

返還金が発生した事例紹介 第2弾

11月に公開いたしましたNo.9のコラムにおきまして、返還金が指摘されてしまいました事例を幾つかご紹介させていただきましたが、かなりの関心をお示しいただいた病院さんも多かったようですので、他の事例につきましてもご紹介させていただくことといたしました。

コラムNo.9「返還金が発生した事例」はこちら
  • その1 敷地内禁煙が徹底されていなかったもの
  • ニコチン依存症管理料の施設基準が受理されますと、病院の敷地内全域を禁煙としていただくこととされております。このルールにつきましては、つい最近も不適切な病院があったことが新聞などで報道されたところですが、今になっても守られていない病院があることには非常に残念に思います。

    ここにお話しする事例は、ニコチン依存症管理料の施設基準を届出した病院の職員が煙草を吸っているところを、適時調査に出向いた厚生局の職員に見られてしまったという大変お粗末なものです。 地方の県では、厚生局の職員は車で病院を訪れることが多いと思います。この日は、病院の入口に近いところに駐車スペースがなく、仕方なく病院の裏側にあった駐車場に車を止め、表側の入口に歩いていた時に、建物の裏側の隅でタバコを吸っていた厨房職員らしき方と眼が合ってしまいました。しかも、それだけではなく、入り口付近で車を降りて待機していた別の職員の前で、清掃の方が「あれっ。いつもある灰皿がないけれど、どこに行ったのかな。」のような調子だったそうです。

    これはもう現行犯のうえ、病院職員の証言も出てしまっておりますから、調査開始前から返還が確定してしまった信じられないようなケースでした。

    事務長さんに確認したところ、前の日に灰皿を片付けておいて、職員にも注意するように言っていたので大丈夫かと思っていたとのことでした。煙草を吸っていたのも、清掃作業に来たのも委託されていた業者の職員だったらしく、そこまでは禁煙行為が徹底されていなかったようです。施設基準によっては、敷地内禁煙のほかに建物内禁煙のルールもありますので、禁煙の徹底は正規職員や患者にとどまらず、委託業者や出入りの業者にも徹底しなければ危険です。

  • その2 医療資格免許取得前に資格者としてカウントしてしまったもの
  • 3月に理学療法士が退職するにあたり、4月に新卒の者を採用して、その穴埋めにしたことにより失敗してしまった典型的な事例です。

    確か、現在の脳血管疾患リハビリテーション(Ⅱ)の施設基準を届出している病院だったと記憶しております。当該基準は常勤専従の理学療法士などが4名以上必要です。ここの病院は医療資格者に定員制を取っていたため、この専従者の配置が定員ギリギリの4名しかありませんでした。
    そこに3月末で理学療法士が1名退職したため、国家試験を合格したばかりの理学療法士を4月1日に採用して穴埋めをしておりました。 しかし、国家試験に合格しても免許資格は4月1日には発生しておりませんでしたが、何を勘違いしたか、「国家試験合格=免許資格OK」と現場責任者が錯覚してしまったため、実際の免許が登録された5月の上旬まで、施設基準の人員配置を満たさなかったものです。

    当然ですが、要件を満たさない脳血管疾患リハビリテーション(Ⅱ)の施設基準は認められませんので、当該点数は返還となってしまいました。「この病院は、もしかしたら他の医療資格でもそうなのかな。」と思い、看護部長さんに確認したところ「登録済証のハガキが来なければ資格がないのは当たり前ですよ。」とのご回答だったので、正直ホッといたしました。

    施設基準の人員ギリギリの配置で新卒者を後任に採用するときには、免許資格の発生日までのブランク期間を別に穴埋めするなどの対応を取らないと要件不足になってしまうこともありますから、3月・4月の人事異動の時期には注意いたしましょう。

  • その3 病棟の勤務表の記号を錯覚してしまったもの
  • 病棟の看護要員の勤務者数を把握するために様式9に勤務時間数を記載して計算していただくことは、誰もがご存知のことと思います。
    勤務表から様式9に勤務時間数を転記するときに勤務表の記号を錯覚してしまい、計算を間違えてしまっていた事例がございました。

    病棟看護要員の勤務表は、師長さんなどが毎月作成して管理するのはどこでもあたり前のことと思います。勤務表に使用する記号は、全国統一のものでもありませんから、病院側で好きなものを使えることになります。好きなものを使えるとはいっても、病院内で統一したものを使うのが当たり前と思っていたのですが、病棟ごとに記号の意味が微妙に違っている病院がございました。この事例は、そのことを知らなかった事務の方が様式9を作るときに、実際とは違った時間数を日勤と夜勤の欄に転記してしまい、正しく計算がされていなかったものです。

    これは、看護部において統一した管理をしなかったために起こってしまった事例ですが、看護部長さんは各病棟の勤務表は一切見ていなかったそうです。まあ、大きな病院でしたら、実際のところはそんなものでしょうか。
    病棟の勤務表の作成は各師長さんに任せっきりとなってしまい、様式9は事務部門で作成させていたため、外部の者(厚生局)がチェックするまで、内部の者(看護部)が間違いに気が付かなかったというお粗末なものでした。

    この病院では日勤の記号が紛らわしくなっており、ある病棟の勤務表では、単なる日勤は空欄でしたが、患者の受け持ちを持たない(いわゆるフリー業務)者には「小さい青丸印」、リーダー業務者には「小さい赤丸印」が記載されていました。しかし、すべての病棟がこのようになっていたわけではなく、食事介助の必要な患者が多い病棟では早出勤務と遅出勤務が存在し、早出者が「小さい青丸印」、遅出者が「小さい赤丸印」になっており、リーダー業務はその日に出勤している看護師で、勤務表の上位にあるものが自動的に担当することから特に表示はしていなかったそうです。

    このことを知らなかった事務担当の方が、様式9を作成するときに早出と遅出者について夜勤時間数を正しく計上しなかったため、月平均夜勤時間数が少なめに計算されておりました。この事実を指摘し月平均夜勤時間数がもっと多くなることを説明した時は、看護部長さんが凍り付いてしまったことを今でも忘れられません。
    後日、正しい計算結果の報告に来ていただきましたが、夜勤時間数の計上漏れの数字が全体としては比較的少なかったため、月平均夜勤時間数がオーバーしても1割以内の3か月以内に収まっておりギリギリセーフの状態でしたので、看護部長さんと事務長さんもニコニコしてお帰りいただけましたことにホッといたしました。

    何もかも現場任せにしないようにすることは当然ですが、院内で使用する記号や略号は誰でも理解できるように統一しておくことは、医療事故防止の観点からも大切なことであることを再度ご認識いただきたいと思います。

竹田和行(社会医療法人 輝城会 医療・介護経営研究所所長)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指 導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群 馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。退職までには約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
現在は社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
主として、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行っている。

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