施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN10|標準的な適時調査の概要

平成28年12月9日

適時調査の実施方法について

今回は、適時調査がどの様な形態で実施されるのかについてお話させていただきます。

適時調査につきましては、各都道府県(以下「県」とさせていただきます。)ごとに一年間に実施される件数が異なるため、回ってくる頻度に差があります。昨年までの状況としては2年程度に1度行われている県の病院もあれば、10年以上実施されていない県の病院もあったようで、極端な事例としては開設以来30年近く経過するにも関わらず、1度も実施されたことのない病院も存在いたしました。

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  • 標準的な調査の概要について
  • 今年からは実施頻度が全国的に統一されてきており、原則としては毎年、県内の施設(病院)数が150以上300未満の県は2年に一度、300以上の県は3年に一度とされておりますが、実際のところとしては各県を担当する厚生局の事務処理体制の問題もあるでしょうから、すべてがこの通りになるわけでもないようです。

    しかし、一巡する期間が確実に短くなってきておりますので、上記の目安を超えて実施間隔が開いてしまっている病院では、いつ順番が回ってきても不思議ではありません。

    実施通知は、実施日の1カ月前に郵送されますので、通知が来てから慌てないように普段からの準備が大切です。
    実施時間は3時間程度、担当者数は3名を標準とされておりますが、25以上の施設基準の届出がある病院については、必要に応じて担当者の増員や実施時間の延長がされます。

  • 厚生局の担当者について
  • 厚生局の担当者は事務官(医師や看護師等の医療資格を持たない一般の正規職員と、施設基準の事務を専門として勤務している「適時調査員」と称する非常勤の事務職員が居ります。)2名以上と保険指導看護師(看護師の資格を持つ厚生局の非常勤職員)1名の組み合わせが標準となりますが、調査内容が考慮され医学的、歯科医学的、薬学的判断が必要とされる場合には、指導医療官(医科及び歯科の保険医療機関の個別指導や監査を担当する医師又は歯科医師免許を持つ常勤の職員)、保険指導医(医科及び歯科の保険医療機関の個別指導や監査を担当する医師又は歯科医師免許を持つ非常勤の職員)、保険指導薬剤師(保険薬局の個別指導や監査を担当する薬剤師免許を持つ非常勤の職員)が加わる場合もあります。

    また、規模の大きい県では管理栄養士の資格を持つ非常勤職員が加わる場合もあるようです。

    調査担当区分は、保険指導看護師が入院基本料の「入院診療計画の基準」「院内感染防止対策の基準」「医療安全管理体制の基準」「褥瘡対策の基準」「栄養管理体制の基準(県によっては管理栄養士の資格を持つ非常勤職員が担当する場合もある)」の入院基本料の5つの基準をはじめとして、看護に関係する要件等の施設基準(入院基本料以外でも看護に関係するものがあれば担当となる)を担当し、それ以外のものを事務官が担当することとなりますが、時間や規模の関係で若干の変更がある可能性もあります。なお、様式9の確認については適時調査員が担当することもあります。

    短時間で必要最小限の人数で調査が行われますので、厚生局の担当者は事前提出された書類や資料を入念に確認して来られるものと思われますので、事前提出資料の作成は慎重に行いましょう。

  • 調査の方法と当日の流れについて
  • 調査の実施は各担当者に分かれて面談方式(対面)により行われますので、病院側では見られる資料が説明できる職員を用意しておく必要があります。

    また、資料がない範囲についても施設基準の要件を満たしているかの確認のため、実施状況などを質問されることもありますから、説明を担当する方は事前に該当する施設基準の告示と通知をよく確認しておきましょう。

    当日の調査の流れにつきましては、次のようになっております。

  1. 厚生局職員から調査目的の説明。
  2. 厚生局担当者の紹介
  3. 病院側職員の紹介
  4. 厚生局職員から手順の説明
  5. 調査開始(お昼を挟む場合は途中で1時間程度の休憩がある)院内視察もあります
  6. 講評の取りまとめ
    (厚生局職員だけで行うので、病院側職員は会場を一度退席するか、別室を用意するかのどちらかになります。)
  7. 講評
  8. 病院側からの感想
  9. 上記5にある院内視察は玄関、受付、病棟、機能訓練室などが対象となります。

一般的にはこのような形で行われるようですが、各県の状況により一巡する期間、調査人員、当日の流れ、視察場所などに若干の違いがあるかもしれませんので、そのことを含めてお読みいただきたいと思います。

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。