施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN27|診療報酬改定に伴う施設基準の再届出などについて

平成30年9月20日

①施設基準の再届出について

本年4月に改定となった施設基準につきましては、一定の経過措置が講じられたものがありますが、この経過措置が本年9月末(6か月間)で切れるものがあるため、これに該当する施設基準について10月以後も引き続き当該点数を算定する場合には再届出が必要となります。

本来であれば、再届出になりますから、届出書の様式全部と明示された添付書類が必要になりますが、2年前と同様に特例の通知が8月24日付で厚生労働省から各厚生局に発出され、当該通知の最後のページに「※医療機関の負担軽減等の観点から、施設基準毎の全届出様式の届出を求めるのではなく、必要最小限の様式の届出を求めるもの。」と記載が有ります。このことから、基本診療料については別添7と改定された部分に該当する様式だけの提出で差支えないこととなり、提出期限も10月10日まで延長されております。

例えば、急性期一般入院料で重症度、医療・看護必要度の数値が改定されたことによる確認の再届出であれば「別添7と様式10」の2種類の様式を10月10日までに提出すればよいこととなります。 具体的な事例等については、この特例が示された通知が9月6日頃から厚生労働省のホームページに掲載されておりますので、確認をお願いいたします。

また、これらの取扱いにつきましては、各保険医療機関等に対して個別に通知をした厚生局や、ホームページにより必要な様式の種類などを説明している厚生局などもありますので、管轄の厚生局のホームページも確認することをお勧めいたします。

②データ提出加算の届出について

データ提出加算が義務付けられた施設基準については、表1のように平成31年3月末までと平成32年3月末まで経過措置が講じられたものがありますが、データ提出加算については届出書を提出するだけでなく、事前にデータ提出までの準備作業をしなければならないことから、経過措置が終了するかなり前から届出に向けた準備が必要になります。

事前作業としては最初に様式40の5(データ提出開始届出書)を提出する必要がありますが、この様式の提出期限は2月、5月、8月、11月の年4回しかありませんし、その後において試行データの作成や提出の作業が最低でも2カ月間程度必要となります。

例えば、平成31年3月末で経過措置が終了する場合については、様式40の5を平成31年2月の提出期限に提出しても、そこから2カ月以上の準備期間が発生いたしますので、データ提出加算の届出書である様式40の7(データ提出加算に係る届出書)が提出できるのは平成31年4月1日を過ぎてしまい、経過期間内にデータ提出加算の届出は不可能となります。この場合には遅くても平成30年11月の提出期限に間に合うように様式40の5を提出しければなりません。同様に経過措置が平成32年3月末までのケースでは平成31年11月の提出期限に間に合うように様式40の5を提出しければなりません。(データ提出加算に関しては、上記①のような届出期限の特例はありませんので、注意してください。)

なお、本年5月にデータ提出加算の説明会がありましたが、そこで使用された資料につきましては厚生労働省のホームページに掲載されておりますので、ご確認ください。

③診療録管理体制加算の届出について

表1に示した入院基本料等については、データ提出加算の届出書を経過措置終了までに提出いたしませんと、単にデータ提出加算が算定できなくなるだけではなく、当該入院基本料そのものが算定できなくなってしまいます。もし、そのようなことになってしまいますと、大幅な収入減は避けられませんので、データ提出加算の届出が確実に行えるように事前準備を万全にする必要があります。

データ提出加算の届出要件として「診療録管理体制加算1又は2の届出を行っている」(回復期リハビリテーション病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料のみの届出、又はその両方のみの届出を行う病院においては、診療録管理体制加算1又は2の届出をしていない場合でも当該施設基準の要件を満たしていれば差し支えありません。この場合においては届出の必要はありませんが、当該施設基準の告示と通知に定める要件を満たしていなければならないことから、これらのことを説明できる資料などは用意しておく必要があります。当然ですが、施設基準の要件を満たしている訳ですから当該点数の算定が可能となりますので届出をした方が良いと考えます。)との要件があります。データ提出加算の届出をする以前(遅くても同時に)に上記カッコ内の場合を除き、診療録管理体制加算1又は2の届出をしておく必要がありますので、まだ、診療録管理体制加算の施設基準の届出をしていない場合には、当該施設基準についても届出でできるように合わせて準備しなければなりません。

上記①で説明した施設基準の再届出、②で説明したデータ提出加算の届出、③で説明した診療録管理体制加算の届出については、もし、届出忘れなどが発生いたしますと診療報酬の大幅な減収が避けられなくなりますので、ご自分の病院が該当しているかどうかも含めて、再度念入りに確認しておきましょう。

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。