施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN37|新型コロナウイルス感染症による施設基準の特例について

令和3年2月10日

新型コロナウイルス感染症の影響により、届出している施設基準につきましていくつかの特例があります。これらの特例については今後の状況により、取り扱いが変わってくることもございますので、今後の情報にもご注意ください。

  • 特例に該当する場合について
  • 次の4つのいずれかにあてはまる場合が該当いたします。

  1. 新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等
  2. ①に該当する医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等
  3. 学校等の臨時休業に伴い、職員の勤務が困難となった保険医療機関等
  4. 新型コロナウイルス感染症に感染し又は濃厚接触者となり出勤ができない職員が在籍する保険医療機関等
  • 該当する病棟について
  • 新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた病棟、他の保険医療機関等に職員を派遣した病棟、学校等の臨時休業に伴い職員の勤務が困難となった病棟、感染し又は濃厚接触者となり出勤できない職員が在籍する病棟以外の病棟においても、同様の取扱いとなります。

  • 該当する期間
  • 当該期間を含む月単位で取り扱うこととなります。様式9は月単位で作成いたしますので、月単位の考え方が取り入れられたものと思われます。例として、1月8日から3月7日までが該当期間といたしましたら、1から3月の3か月分が該当することになります。

  • 緊急事態宣言が発出された場合について
  • 緊急事態宣言(新型インフルエンザ等対策特措法(平成24年法律第31号)第32条第 1項の規定に基づき行われる、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態が発生した旨の宣言をいう。以下同じ。)において緊急事態措置を実施すべき期間とされた期間については、緊急事態宣言において緊急事態措置を実施すべき区域とされた区域にかかわらず、全ての保険医療機関等について、当該臨時的な取扱いの対象とすることになります。なお、緊急事態措置を実施すべき期間とされた期間については、当該期間を含む月単位で取り扱うことになります。

    例として、緊急事態宣言が数か所の都道府県にしか発令されていない場合であっても、全国すべての保険医療機関等が該当することとなります。なお、期間についての考え方は上記の事例と同様で月単位で考えます。

  • 特例の内容について
    • 定数超過入院について
    • 「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」(平成18年3月23日保医発0323003 号)の第1の2の減額措置は適用しないことになります。

    • 月平均夜勤時間数について
    • 1割以上の一時的な変動があった場合においても、当分の間、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号。以下「基本診療料の施設基準等通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず、変更の届出を行わなくてもよいことになります。

    • 1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員」という。)の数、看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率について
    • 1割以上の一時的な変動があった場合においても、基本診療料の施設基準等通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず、変更の届出を行わなくてもよいことになります。

    • DPC対象病院について
    • 「DPC制度への参加等の手続きについて」(令和2年3月27日保医発0327第6号)の第1の4(2)②に規定する「DPC対象病院への参加基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよいことになります。

    • 平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率及び医療区分2又は3の患者割合等の要件について
    • 基本診療料の施設基準等通知における当該要件を満たさなくなった場合においても、直ちに施設基準の変更の届出を行わなくてもよいことになります。

    • 患者及び利用者の診療実績等に係る要件の取扱いについて
    • 【対象医療機関等に該当する場合】
      手術の実績件数等の患者及び利用者の診療実績等に係る要件について、基本診療料の施設基準等通知、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第3号)及び「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第4号)における当該要件を満たさなくなった場合においても、直ちに施設基準及び届出基準の変更の届出を行わなくてもよいことになります。

      【対象医療機関等に該当しなくなった後の取扱い】
      次の2つのいずれかの方法で差し支えありません。

  1. 対象医療機関等に該当する期間については、実績を求める対象とする期間から控除した上で、控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める対象とする期間として差し支えありません。

    例:ある年の4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関における、当該年10月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
    下記の表において★印の期間を除いて直近の合計12か月間を計算対象とします。

  2. 前年
    7月

    8月

    9月

    10月

    11月

    12月
    当該年
    1月

    2月

    3月

    4月

    5月

    6月

    7月

    8月

    9月
  3. 対象医療機関等に該当する期間については、当該期間の実績値の代わりに、実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用いても差し支えありません。

    例:ある年の4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関における、当該年10月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
    下記の表において直近の12か月間で■印の期間を除いた残りを計算対象とします。

  4. 前年
    10月

    11月

    12月
    当該年
    1月

    2月

    3月

    4月

    5月

    6月

    7月

    8月

    9月

なお、これらの取り扱いにつきましては、今後の新型コロナウイルス感染症の状況などにより、変更されたり、追加されたりすることが予測されますので、常に新しい情報を確認されるようにお願いいたします。 また、通知で公表されていないことにつきましても、厚生労働省と厚生局の内部通達などにより取り扱いが示されていることもありますので、新型コロナウイルスの影響により施設基準の維持が困難となりそうなときには、個々に厚生局に確認されることをお勧めいたします。

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。