施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN40|新型コロナウイルスの影響による施設基準の運用に関する臨時的な取扱い(特例)その1

令和3年12月15日

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、施設基準の取扱いにいろいろな臨時的措置(特例)が講じられておりますので、ご説明いたします。

1.下記のような臨時的な取扱い(特例)が設定されております。

  • 定数超過入院について、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」
    (平成18年3月23日保医発0323003号)の第1の2の減額措置は適用しないこと。(2020年2月14日事務連絡1(1))
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599662.pdf
  • 月平均夜勤時間数について、1割以上の一時的な変動があった場合においても、当分の間、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号。以下「基本診療料の施設基準等通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず、変更の届出を行わなくてもよいものとすること。(2020年2月14日事務連絡2(1))
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599662.pdf
  • 1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員」という。)の数、看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率について、1割以上の一時的な変動があった場合においても、基本診療料の施設基準等通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず、変更の届出を行わなくてもよいものとすること。(2020年2月14日事務連絡2(2))
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599662.pdf
  • DPC対象病院について、「DPC制度への参加等の手続きについて」(令和2年3月 27日保医発0327第6号)の第1の4(2)②に規定する「DPC対象病院への参加基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよい。(2020年2月14日事務連絡2(3))
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599662.pdf
  • 平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率及び医療区分2又は3の患者割合等の要件について、基本診療料の施設基準等通知における当該要件を満たさなくなった場合においても、直ちに施設基準の変更の届出を行わなくてもよい。(2020年4月14日事務連絡別添問7)
    https://www.mhlw.go.jp/content/000621620.pdf

2.患者及び利用者の診療実績等に係る要件の臨時的な取扱い(特例)について

対象医療機関等に該当する場合は、手術の実績件数等の患者及び利用者の診療実績等に係る要件について、基本診療料の施設基準等通知、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(2020年3月5日保医発0305 第3号)における当該要件を満たさなくなった場合においても、次の①または②に該当する場合には、直ちに施設基準及び届出基準の変更の届出を行わなくてもよいこととされています。

  • 対象医療機関等に該当する期間については、実績を求める対象とする期間から控除した上で、控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める対象とする期間とします。
    例:ある年の4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関における、当該年10月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
    前年
    7月

    8月

    9月

    10月

    11月

    12月
    当該年
    1月

    2月

    3月

    4月

    5月

    6月

    7月

    8月

    9月
    ○:通常の取扱いのとおり、実績を求める対象とする月
    ★:対象医療機関等に該当するため、実績を求める対象としない月
    ●:臨時的な取扱いとして実績期間から控除した月(★)の代用として、実績を求める対象とする月
  • 対象医療機関等に該当する期間については、当該期間の実績値の代わりに、実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用います。
    例:ある年の4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関における、当該年10月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
    前年
    10月

    11月

    12月
    当該年
    1月

    2月

    3月

    4月

    5月

    6月

    7月

    8月

    9月
    ○:通常の取扱いのとおり、実績を求める対象とする月
    ■:対象医療機関等に該当するため、○の平均値を代用する月
    https://www.mhlw.go.jp/content/000665994.pdf

3.臨時的な取扱い(特例)の対象となる保険医療機関等

上記1と2で示した臨時的な取扱いの対象とする保険医療機関等については、(以下「対象医療機関等」という。)以下ア~エの該当するものになります。

ア 新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等
イ アに該当する医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等
ウ 学校等の臨時休業に伴い、職員の勤務が困難となった保険医療機関等
エ 新型コロナウイルス感染症に感染し又は濃厚接触者となり出勤ができない職員が在籍する保険医療機関等
※ ア~エに該当する保険医療機関等については、それぞれ、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた病棟、他の保険医療機関等に職員を派遣した病棟、学校等の臨時休業に伴い職員の勤務が困難となった病棟、感染し又は濃厚接触者となり出勤できない職員が在籍する病棟以外の病棟においても、同様の取扱いとなります。なお、ア~エに該当する期間については、当該期間を含む月単位で取り扱うこととなります。

ただし、緊急事態宣言(新型インフルエンザ等対策特措法(平成24年法律第31号)第32条第1項の規定に基づき行われる、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態が発生した旨の宣言をいう。以下同じ。)において緊急事態措置を実施すべき期間とされた期間については、緊急事態宣言において緊急事態措置を実施すべき区域とされた区域にかかわらず、全ての保険医療機関等について、当該臨時的な取扱いの対象とすることとなります。なお、緊急事態措置を実施すべき期間とされた期間については、当該期間を含む月単位で取り扱うこととなります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000665994.pdf

緊急事態宣言については2021年1月以後の場合では、1月18日から3月21日、及び4月25日から9月30日までの期間において、どこかの都道府県で発出されておりますので、2021年1月から9月までのすべての月において、全国すべての保険医療機関で特例の適用を受けられることなります。

これ以外にも臨時的な取扱い(特例)の対象となる場合がありますが、次回の「その2」でご説明いたします。

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。