施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN41|新型コロナウイルスの影響による施設基準の運用に関する臨時的な取扱い(特例)その2

令和3年12月24日

前回に引き続き、残りの臨時的な取扱い(特例)を説明いたします。

・前回の「その1」で説明した以外の事例で臨時的な取扱い(特例)の対象となる場合

  • 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンについて、市町村等の計画又は要請により、自施設内で接種を行った保険医療機関等又は当該保険医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等について、それぞれ、2020年8月31日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)」1.(2)①イ「アに該当する医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等」に該当すると考えてよいこととされております。
    その38(2021年3月22日)(別添)問1
    https://www.mhlw.go.jp/content/000756728.pdf
  • 新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院が必要な患者を受け入れた保険医療機関について、2020年8月31日事務連絡1.(2)①ア「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等」に該当すると考えてよいこととされております。
    その39(2021年3月26日)(別添)問1
    https://www.mhlw.go.jp/content/000760077.pdf
  • 新型インフルエンザ等対策特措法(平成24年法律第31号)第31条の4第1項の規定に基づき、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置(以下、「重点措置」という。)を実施すべき区域として公示された区域において、重点措置を実施すべき期間とされた期間については、当該区域を含む都道府県に所在する全ての保険医療機関、保険薬局及び訪問看護ステーションについて、2020年8月31日事務連絡の1(2)①の対象医療機関等とみなすこととなっております。なお、重点措置を実施すべき期間とされた期間については、当該期間を含む月単位で取り扱うこととなります。
    その41(2021年4月6日)
    https://www.mhlw.go.jp/content/000766125.pdf
  • 区分番号「A001」再診料の注12地域包括診療加算及び区分番号「B001-2-9」地域包括診療料の施設基準に規定する慢性疾患の指導に係る適切な研修について、2年毎の届出が必要とされているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当該研修が中止される等のやむを得ない事情により、研修に係る施設基準を満たせない場合においは、届出を辞退する必要はなく引き続き算定可能です。ただし、研修が受けられるようになった場合には、速やかに研修を受講し、遅滞なく届出を行う必要があります。
    また、区分番号「A234」医療安全対策加算の注2医療安全対策地域連携加算及び区分番号「A234-2」感染防止対策加算の注2感染防止対策地域連携加算の施設基準に規定する年1回程度の評価について、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため実施できない場合においても、届出を辞退する必要はありませんが、実施できるようになった場合には、速やかに評価を実施する必要があります。
    例えば、2021年10月中旬頃以後は、全国的に陽性者が減少していることから、再度増加に転じるまでの期間は、研修や評価などは実施できるものと考えられます。逆に考えますと、この時期に実施しなかった場合には、なぜ実施出来なかったかを説明しなければならなくなるものと考えます。
    その6(2020年3月19日)(別添1)問5及び問6
    https://www.mhlw.go.jp/content/000617819.pdf
  • 看護職員夜間配置加算、病棟薬剤業務実施加算等については、算定する保険医療機関の各病棟において配置要件を満たすことが求められているが、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等により休棟していた病棟を改めて使用する場合においては、現に患者を受け入れる場合には、配置要件を満たす必要があります。 また、看護職員夜間配置加算、病棟薬剤業務実施加算等については、算定する保険医療機関の各病棟において配置要件を満たすことが求められておりますが、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等により休棟となる病棟については、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等のために休棟となる場合には、当該病棟において配置要件を満たす必要はありません。なお、病棟薬剤業務実施加算における病棟薬剤業務の実施時間の要件についても同様です。
    さらに、病棟薬剤業務実施加算の施設基準において、病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1か月の実施時間が合算して1週間につき20時間相当に満たない病棟があってはならないこととされておりますが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため病棟での滞在時間を制限している場合等については、病棟での滞在時間を制限している場合等により施設基準を満たさなくなくなった場合については、当面の間、直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はないとされています。
    その14(2020年4月24日)(別添)問12、 問13及び問15
    https://www.mhlw.go.jp/content/000625141.pdf
  • A000初診料1歯科初診料の注1の施設基準に規定する研修について、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため実施出来ない場合においては、届出を辞退する必要はありませんが、可能な範囲で実施し、実施できるようになった場合は、速やかに本来予定していた研修を受講する必要があります。
    その15(2020年4月27日)(別添)問7
    https://www.mhlw.go.jp/content/000625703.pdf
  • 研修が届出基準の1つとなっている施設基準について、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、歯科外来診療環境体制加算、在宅療養支援歯科診療所及びかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準である研修について集合研修ではなくeラーニング等のWEB配信による受講でも該当する研修については、医療関係団体が実施し、必要な内容が網羅されたものであれば認められます。
    その21(2020年6月10日)(別添2)問4
    https://www.mhlw.go.jp/content/000638788.pdf
  • 保険医療機関において新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことにより、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合に、特定入院料等に規定する施設基準の要件については、保険医療機関において、 新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことにより、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など)した場合には、当面の間、当該患者を除いて施設基準の要件を満たすか入院した場合など)した場合には、当面の間、当該患者を除いて施設基準の要件を満たすか否か判断することとなります。
    その1(2020年2月14日)(別添)問2
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599662.pdf
  • A308 回復期リハビリテーション病棟入院料注4イの体制強化加算1について、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたこと等により、専従医師に係る要件を満たせなくなった場合においては、2020年8月31日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)」1の(2)①又は②に該当している期間については、直ちに辞退の届出を行う必要はありません。ただし、要件を満たしていない間、体制強化加算1の算定はできません。
    その40(2021年4月6日)(別添)問1
    https://www.mhlw.go.jp/content/000766044.pdf
  • A301 特定集中治療室管理料の施設基準の要件である「特定集中治療の経験を5年以上有する医師」については、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(2014 年3月31 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)問43において「集中治療部門での勤務経験を5年以上有しているほか、特定集中治療に習熟していることを証明する資料を提出すること」とされており、「特定集中治療に習熟していることを証明する資料」については、「疑義解釈資料の送付について(その2)」(平成2014年4月4日厚生労働省保険局医療課事務連絡)問22において「日本集中治療医学会等の関係学会が行う特定集中治療に係る講習会を受講していること、および特定集中治療に係る専門医試験における研修を含むものとする。」とされておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、日本集中治療医学会が行う、オンデマンド方式講習会の「JSICM学術集会アーカイブス」を受講した場合では、該当する講習会を受講したものとして差し支えありませんが、当該講習会の受講に加え、特定集中治療に係る専門医試験における研修も受講していることが必要となります。
    その48(2021年6月7日)(別添)問1
    https://www.mhlw.go.jp/content/000789239.pdf
  • 区分番号「A001」再診料の注12地域包括診療加算及び区分番号「B001-2-9」地域包括診療料の施設基準に規定する慢性疾患の指導に係る適切な研修について、2年毎の届出が必要とされているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当該研修が中止される等のやむを得ない事情により、研修に係る施設基準を満たせない場合においても、届出を辞退する必要はなく、引き続き算定可能です。ただし、研修が受けられるようになった場合には、速やかに研修を受講し、遅滞なく届出を行う必要があります。
    その6(2020年3月19日)(別添1)問5
    https://www.mhlw.go.jp/content/000617819.pdf
  • 連携充実加算について、「当該保険医療機関において外来化学療法に関わる職員及び地域の保険薬局に勤務する薬剤師等を対象とした研修会等を年1回以上実施すること。」とされておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により対面で実施することが困難な場合については、新型コロナウイルス感染症に係る臨時的な取扱いとしてリアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて研修会での実施で差し支えありません。
    その26(2020年8月31日)問3
    https://www.mhlw.go.jp/content/000665994.pdf
  • 医科点数表第2章第 10 部手術の通則の 19 に掲げる手術の施設基準の要件について、「当該医師は医療関係団体が主催する遺伝性乳癌卵巣癌症候群に関する研修を修了していること。」とされておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構が行う、オンデマンド方式講習会の「JOHBOCE-learning セミナー」を受講した場合であっても、該当する研修を修了したものとして差し支えありません。
    その48(2021年6月7日)(別添)問2
    https://www.mhlw.go.jp/content/000789239.pdf

新型コロナウイルスに関する診療報酬上の臨時的な取り扱いは、「その1」も含めてお示しした施設基準の運用のことに限らず、保険点数の算定のことなども含めて2020年2月14日から始まり、2021年11月末現在では、2021年9月28日に発出された「その63」まで数多くの取り扱いが示され、新設、廃止、塗り替えなどを繰り返しております。

正しい保険点数の取り扱いを行うためには、これらすべてに目を通して、現時点で有効な取り扱いを正しく理解することが必要です。また、新型コロナウイルスの感染状況に応じて、今後も取り扱いが追加や廃止されることも予測されますので、常に最新の情報を確認する必要もあります。

「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」のすべての通知を確認する場合には、下記のリンク先にある厚生労働省ホームページをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00088.html

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。