施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN45|新型コロナウイルス感染症の5類への位置づけの変更後の施設基準について

令和5年5月24日

1.新型コロナウイルス感染症の臨時的取り扱いとは

令和元年(2019年)に発生した新型コロナウイルス感染症は、感染症法上において2類に相当することとされウイルスの特性や治療方法などに不明確なことなどが多かったことから、発生当初は感染患者の受入が可能な病院がかなり少なかったことと、受入れるためのマンパワーや設備の整備が不十分だったことなどからこれらのことに対して診療報酬面においての評価などを講じるために、令和2年2月から数多くの特例に関する通知が発出されました。
通知の内容は、診療時の点数を加算するものや、本来であれば請求できない点数を特例的に請求可能にするものや、届出している施設基準に対して緩和的に取り扱うことなどが盛り込まれました。

本年5月8日から感染症法上においての位置づけが5類に変更されるにあたり、令和5年3月30日以前の通知は無効とされ、取扱いがリセットされました。(別添資料1|朱線部分を参照)

2.変更後の施設基準の取り扱い

  1. 該当する施設の要件
  • 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関等
  • アに該当する保険医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等
    (市町村等の要請により新型コロナワクチン対応を行った保険医療機関を含む。)
  • 新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができない職員が在籍する保険医療機関等(変更前には「濃厚接触者」も含まれておりましたが、これは要件に含まれなくなりました。)

(ア~ウに該当する保険医療機関等については、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病棟、他の保険医療機関等に職員を派遣した病棟及び感染し出勤できない職員が在籍する病棟だけではなく、それ以外の病棟においても、同様の取扱いとなります。なお、ア~ウに該当する期間については、当該期間を含む月単位で取り扱うこととなります。)

また、アの要件については「新型コロナウイルス感染症から回復した患者を受入れた場合」については含まれなくなりました。(令和3年3月26日付の「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて その39」問1において、「新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院が必要な患者を受け入れた保険医療機関について、8月31日事務連絡1.(2)①ア「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等」に該当すると考えてよい。」とされていましたが、この通知が無効とされたため、当該取り扱いは5月7日をもって廃止されたと考えられます。)

さらに、「緊急事態宣言」についても、今後は発出される見込がなくなったものと考えられますので、この要件も含まれなくなりました。

  1. 該当する内容
  2. 月平均夜勤時間数、1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員という。」の数、看護要員の数と入院患者の比率、看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率及び医療区分2又は3の患者割合等については、その数値が要件を満たさなくなっても、臨時的取り扱いに該当する施設の該当する月に関しては、他の施設基準への変更の届出や辞退届の提出は必要なく、届出してある施設基準がそのまま有効とされます。

  3. 臨時的取り扱いに該当しなくなった場合の診療実績等の考え方

    従前の取り扱いに大きな変更はなく、下記の2つの方法がありどちらを選択しても差支えありません。

  • 対象医療機関等に該当する期間については、実績を求める対象とする期間から控除した上で、控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める対象とする期間とする。
  • 対象医療機関等に該当する期間については、当該期間の実績値の代わりに、実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用いる。

3.取り扱いに大きな変更がある施設基準

  1. 感染対策向上加算1
  2. 令和5年4月17日に出された通知(別添資料2を参照、以下②及び③も同じ。)の問3より「令和5年1月1日以降に新型コロナウイルス感染症に係る重点医療機関の指定を受けていたことがある医療機関のうち、過去6か月以内に新型コロナウイルス感染症患者(院内クラスターにより感染した患者など当該医療機関に入院後に新型コロナウイルス感染症と診断された患者を除く。)に対する入院医療の提供の実績がある医療機関が該当する。

    なお、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の問8は廃止する。」

    当該施設基準は、令和4年3月31日の疑義解釈通知の問8により「重点医療機関」が該当しましたが、令和5年5月8日からは「令和5年1月1日以降の過去において重点医療機関の指定を受けていたことがある」場合で、過去6か月以内に新型コロナウイルス感染症患者を外部から受入れて入院させた実績が必要となります。院内に入院していた患者が院内感染等で発症して、そのまま入院させた場合は該当しませんので、注意が必要です。

  3. 感染対策向上加算2
  4. 令和5年4月17日に出された通知の問4より「地域の診療所からの要請等に応じて新型コロナウイルス感染症を疑う患者を救急患者として診療し新型コロナウイルス感染症と診断する場合に、必要に応じて当該患者の受入が可能な体制を確保したうえで、過去6か月以内に新型コロナウイルス感染症患者(院内クラスターにより感染した患者など当該医療機関に入院後に新型コロナウイルス感染症と診断された患者を除く。)に対する入院医療の提供の実績がある医療機関が該当する。

    なお、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の問9は廃止する。」

    当該施設基準は、令和4年3月31日の疑義解釈通知の問9により「協力医療機関」が該当しましたが、令和5年5月8日からは実績として、過去6か月以内に新型コロナウイルス感染症患者(院内クラスターにより感染した患者など当該医療機関に入院後に新型コロナウイルス感染症と診断された患者を除く。)に対する入院医療の提供したことが必要となります。

  5. 外来感染対策向上加算並びに感染対策向上加算3
  6. 2023年4月17日に出された通知の問5より「現時点では、外来対応医療機関(「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(令和5年3月17日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)の2.(3)において示す発熱患者等の診療に対応する医療機関をいう。)であって、その旨を公表している医療機関のうち、受入患者を限定しない又は受入患者を限定しない形に令和5年8月末までに移行することとしているものが該当する。

    なお、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の問10は廃止する。」

    当該施設基準は、令和4年3月31日の疑義解釈通知の問10により「診療・検査医療機関」が該当しましたが、令和5年5月8日は「発熱患者等の診療に対応する医療機関」であり、「その旨を公表していること」に加え、「受入患者を限定しない状態」であるか、「令和5年8月末までに受入患者を限定しない形に移行する状態」になることが必要です。

    新型コロナウイルス感染症の重点医療機関、協力医療機関などの取り扱いに変更などがありますことから、上記の通知が示されております。重点医療機関等の評価などに変更があることから、感染対策向上加算1を辞退して、2以下の施設基準に変更を考えている病院もあるように聞いておりますが、感染向上対策加算は1の基準の病院を中心として、2以下の基準の病院や診療所でグループを形成して成り立っております。1の基準の病院が安易に施設基準の届出を辞退してしまっては、このグループを維持することが困難となり、他の2以下の病院や診療所が共倒れで施設基準の届出が困難となる場合もありますので、慎重に考えていただく必要があると思います。

    なお、施設基準以外の診療報酬の取り扱いについては、令和5年3月31日付の通知(別添資料3を参照)に記載がありますので、それを見ていただきたいと思います。

新型コロナウイルスは今後もどのように変化していくかは未知のところもあり、将来的には感染状況の変化とともに、ここにお示しした取り扱いも更に変更となることが十分に考えられますことから、常に最新の情報を確認して、適切な取り扱いに努める必要があります。

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。