施設基準プロフェッショナルコラム

COLUMN48|月平均夜勤時間数の計算について

令和7年11月20日

1.計算対象期間

計算対象とする期間は、施設基準の通知により「1か月又は4週間」とされております。「1か月」考え方は、今更ご説明するの程のものでも無く、毎月1日から月末までの期間を意味し、様式9で看護要員数を計算する期間と同様です。「4週間」の考え方は、連続する4週間(28日間)を意味いたします。4週間が空きなく連続して繰返すことを意味いたしますことから、月が変わる毎に計算開始日をリセットして、毎月1日から28日までの期間だけを計算対象にすることにはなりません。(別添1参照)例えば2025年11月2日(日曜日)から11月29日(土曜日)までの28日間を4週間とした場合には、次の期間は11月30日(日曜日)から12月27日(土曜日)までの28日間となり、その次は12月28日(日曜日)から2026年1月24日(土曜日)までの28日間となり、以後はこれの繰返しとなります。

2.4週間で計算した場合のメリット

単純には、月平均夜勤時間数は看護職員が計算対象となる病棟で勤務した夜勤時間数の計算期間での合計数を、その病棟でその期間内において夜勤に従事した者の合計数で除した数となります。分子となる数は、1か月間全ての夜勤時間数ですから、1か月が30日の月は30日間、31日の月は31日間での合計となります。これに対して4週間単位での計算とした場合には28日間での合計となり、単純比較では30日間の月に比べ約6.7パーセント、31日間の月に比べ約9.7パーセント少なくなります。仮に、分母になる夜勤従事者数が何れも同じ数だったとした場合、計算結果となる月平均夜勤時間数も、それぞれで約6.7パーセントと、約9.7パーセント少なくなる計算結果となります。1か月間の計算では月平均夜勤時間数が72時間を多少を越えるような場合でも、4週間単位の計算であれば72時間に収まる可能性が高くなります。

3.4週間で計算した場合のデメリット

月平均夜勤時間数と看護要員数は様式9を用いて計算することとされております。看護要員数の計算は1日から月末までの歴月計算となりますので、年間12回の計算が発生します。これに対して、月平均夜勤時間数を4週間単位で計算することとなりますと、歴月計算との計算期間が一致しませんので、それぞれを別々に計算する必要があり、月平均夜勤時間数の様式9は年間13回(365÷28=13.03……)必要となり、合計で25回分の様式9を別々に作成して管理する必要があります。
また、夜勤従事者の要件は計算期間の28日間単位で見極める必要があるため、看護要員の配置替えを毎月の1日に行うような場合には、不利な結果となることがあります。
例えば、
① 日勤と夜勤を普通に行っている者の勤務形態を夜勤専従者に変更する場合で、変更日を1日に行ってしまいますと、計算期間のほとんどが月末や1日を跨いで発生することから、一般的には計算期間に日勤の勤務日が入りこんでしまう事が多く、日勤の勤務時間が入りこんでしまいますと、その月は夜勤専従者として取扱うことが出来なくなります。
② 夜勤時間数が16時間(地域一般入院料や13対1以下の入院料を届出した病棟は8時間)未満の場合には、夜勤従事者数に含められませなので、歴月では16時間以上の夜勤があっても、4週間の計算期間でこれを割ってしまいますと、夜勤従事者数には含められなくなり、結果として分母が減ることとなります。
このような場合には、4週間の計算期間の区切りに合わせた勤務形態変更や、人事異動を行う必要がでてきます。

4.4週間計算が存在する背景

諸説あるのですが、下記のようなことが一番有力ではないかと言われております。公務員は、現在では完全週休2日制になっておりますが、1992年にこの勤務態勢になる前の過渡期において、4週6休制が導入された時期がありました。公立系の病院においては、この4週6休制の時期において勤務管理をわかりやすくするために、4週間サイクルの勤務計画表を導入した病院が多かったようです。その後、完全週休2日制になった以後も、引き続き4週間サイクルの勤務計画表をそのまま活用している病院もあったようです。そのような勤務表を活用しているままで、看護職員の夜間の勤務態勢を評価する「夜間勤務等看護加算」などが創設されたことにより、その4週間単位の勤務表がそのまま使用できるように、この時期から、計算対象とする期間は「1か月又は4週間」にされたようです。そして、現在においても、この考え方が引き続き取入れられた状態に至っていると考えられます。

5.4週間計算の選択方法

月平均夜勤時間数の計算方法を月単位と4週間単位のどちらを選ぶかは病院側の任意の選択で有り、いつからでも変更することは可能ですが、変更した際には、計算方法を変更した開始日を様式9において明確にしておく必要はあります。様式9は厚生局に対して、入院基本料の届出を提出したり、適時調査の事前提出資料としてを添付することがありますが、既に提出した期間のものを、後から遡って計算方法を変更することは認められませんので、様式9の提出前にどちらにするのかはハッキリと決めておく必要はあります。

別添1

疑義解釈通知 2012/03/30 医科 【入院基本料】

問19)入院基本料の算定要件にある夜勤に従事する看護職員の月平均夜勤時間数を4週間単位で算出している場合、月や年度が変わる際などに一度リセットして、新しい月の1日から始めてもよいのか。

答え) 不可。計算に含まない日が出ないよう必ず連続する4週間ごとに算出すること。例)1度4週間で算出する方法を選択し3月1日~3月28日で届出をした場合は、次の算出期間は3月29日~4月25日となる。

竹田和行(株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役)

竹田 和行(たけだ かずゆき)
1961年 東京都生まれ。
1993年 東京都福祉局社会保険指導部医療課において医療行政、特に看護、給食、寝具設備(当時のいわゆる3基準)とその他の施設基準についての指導を担当し、1999年に部署が変わるまでの間に指導、監査および調査のため数多くの病院の立ち入りに同行した。
その後、社会保険庁の出先機関において年金、健康保険の行政事務を担当し、2008年 関東信越厚生局医療課長補佐、2010年 関東信越厚生局群馬事務所審査課長を歴任し、2012年の退職までの4年間にも主として施設基準の指導を担当し、指導、監査および調査のため病院の立ち入りに同行した。施設基準を担当した10年間で約400か所の病院の立ち入りに同行した実績を持つ。
2012年 社会医療法人輝城会 医療・介護経営研究所 所長。
現在は 株式会社 施設基準総合研究所 代表取締役。
医療コンサルタントとして、施設基準のルールなどについて契約先の病院に助言などを行うほか、セミナーや講演会などで施設基準や個別指導などをテーマに解説を行っている。