介護経営プロフェッショナルコラム

介護経営のプロフェッショナルが法改正など専門的な内容を取り上げ解説!

COLUMN 01

訪問介護運営者へのエール
時代の大転換点を迎えた「訪問介護」
〜現状解説と今後の可能性〜

川畑  誠志(かわばた せいじ)

ヒューマン ライフ グループ 代表

ヒューマンライフグループ代表。社会福祉士としての専門性を基盤に、福祉分野に特化した経営コンサルティングを展開。「日本一予約の取れない福祉コンサル」と言われ、これまで2000事業以上の支援経歴。介護と障害福祉事業の業績向上、組織活性化、人材戦略、など全方位的な支援が特徴。未来戦略では介護と障害の共生化など、時代を牽引する経営戦略の策定に携わる。また日本で唯一、介護福祉事業の経営再建の専門家としても、全国の金融機関から依頼が多い。

経営危機の訪問介護

在宅介護を支える重要な役割を担う訪問介護。しかし現在の経営環境は厳しさを極めています。地方の過疎化による顧客の減少。それに加え、介護分野でも特に厳しいと言われる人材不足。そこに前回の介護報酬改定での報酬減算が重なり、大きな打撃となりました。
いま現在、在宅を支える訪問介護事業所が無い市町村がすでに100以上あります。それに加え、行政区内に事業所があっても、サービスが入って来れない地域は全国で300ヶ所以上にも上ります。この数字が意味するものは決して小さくありません。訪問介護によって支えられた在宅介護の基盤は、私たちの身近な場所で、すでに崩壊を始めていると言えます。

訪問介護の運営現場で起きていること

現場の実情に焦点を当てますと、全国多数の訪問介護の経営支援の現場で感じるのは、長年にわたり徐々に収益が減少し、収支バランスが崩れ、自信や誇りを失い、萎縮した事業所が多いことです。
収益縮小に伴い人員配置が減少。他部署から転籍してきた社員ヘルパーと、登録ヘルパーによる不安定なシフト体制。さまざまな役割を担うサービス提供責任者や訪問介護事業所管理者のオーバーワーク。それでも人件費オーバーによる赤字運営から抜け出せない現実。業界中でも特に現場の疲弊感が強い業種です。
その中で、経営者も役職者も現場スタッフも、懸命に在宅要介護者を支え、地域を支え、経営を支えて続けています。

競合が多数登場する業界構造

経営環境が厳しい原因は、地域環境や人員不足だけでなく、類似業種や競合サービスの増加も大きく影響しています。

  1. サ高住・住宅型有料など住宅型施設の急増で、手厚い訪問介護が必要な人が在宅から減少。
  2. (看護)小規模多機能の増加。
  3. 現在直面している定期巡回型サービスの急増。
  4. 2027年度介護保険法改正での導入が予測される「通所+訪問」の新サービス創設。急激に変化し続ける業界構造の中で、訪問介護が持つ本来の良さ・強み・存在価値が、徐々に薄らぐかのような危機感を感じてきました。

業績V字回復を実現する事業所のリアル

そんな中でも、力強くV字回復を実現する事業所が多数あります。私が関わる事業所の多数は、短期間で収益向上し黒字化します。何に取り組み、どんな成果を出しているのか?

  1. 自社の現状を正しく分析把握し、良さ・強みを見出す、同時に弱点に気づく
  2. 現状のシフト体制を増やさず最大化できる目標を立てる
  3. サービス提供の効率化、管理業務の効率化、その意識を全体で共有
  4. 関係機関との信頼関係構築し、顧客獲得に全力を注ぐ

詳細内容は本稿では割愛しますが、収支バランスを大きく崩した事業所も、全力で取り組めば、約1年間くらいで単月収支を正常化できる場合が多いのです。全ての事業所にV字回復の可能性があると断言できます。でも実際に実現できる事業所は少数であるのも現実。
正しく現状を分析把握しないと、正しい対策が打てません。目標が定まっても、実行体制がないと動きません。動き始めても、継続できる仕組みがないと途絶えます。事業所運営面の「仕組み化」が何より重要なのです。

しかし残念なことに、現在の経営環境の中で、人件費などの経費を先行投資した上で、創客努力をするほどの余裕はありません。今の人員体制の中で収益を向上させ、そこで生み出した新たな売上を未来に向けて再投資する、正しい経営サイクルを回さないと、終始バランスは整いません。そこに現場の理解と協力が必要と言えます。

訪問介護の近未来像とやるべき準備

2027年春の介護保険法改正に向け、さまざまな議論が進んでいます。詳しくは別稿に譲りますが、新たな地域区分や事業形態が登場する見込みであり、訪問介護事業は今回もまた、激変の法改正になることは確実です。
まさに大ピンチ到来ですが、逆に大チャンスに転換することが可能です。今年度中に体制を整え直し、攻めて出る準備を整えられるか?絵空事でなく、すべての訪問介護事業所がこのチャンスを手にすることが可能なのです。
2026年度は、訪問介護事業所の未来を左右する、勝負の分かれ目の年。今年こそ、本気で取り組み成果を出すべき年なのです。一人でも多くの利用者様のお役に立ち、収益を拡大し、運営体制を整え、近い未来の大転換を迎えうつ。今からスタートすれば、まだ間に合います。

生産性向上は必須

訪問介護で、業務の効率化は避けて通れません。管理的業務の中ではケアプランデータ連携システムの導入が急速に進みます。また記録の電子化や自動化は、現場スタッフの慣れが重要ですが、将来を考えれば、今こそ乗り越えるべき事項です。
役職者業務の中で、大きなウエイトを占めるのが「サービス調整」です。新規利用や利用中断によるケアプラン設定時間の調整、日々のシフト調整や訪問ルートの設定、急な変更に対応するためのタイムリーな連絡調整、などなど非常に煩雑で多くの時間と手間を要します。
役職者として避けて通れない業務ですが、もしこれが自動化すれば、サ責の業務が大幅に軽減します。このように生産性向上で生まれる時間を、顧客創出や運営改善の業務時間に充当することができるようになります。
生産性向上や業務効率化は、業務負担の大きい作業から順番に取り組むのが鉄則。その理由は、効果性が高くなるからです。皆様の2026年度が、より良い成果に満ちた1年になられますように。このコラム連載を通して、ささやかな応援を続けてまいります。今回詳細をご紹介できなかった内容は、次稿以降で改めて書き進んでまいります。皆様からのご意見やご要望も、お待ちします。

ここ日和について詳しく知りたい方はこちら

訪問介護事業者の声から生まれた 訪問調整支援サービス

プロフィール


川畑  誠志

 

1974年(昭和49年)生まれ。香川県丸亀市在住。

現任

 

ヒューマン ライフ グループ  _代表
株式会社 人とくらしラボ(香川県高松市) 代表取締役
株式会社ヒューマンライフパートナーズ(高松市、丸亀市) 代表取締役
一般社団法人 日本研究開発機構(千代田区、市川市) 理事長
株式会社ヒューマンライフ出版(千代田区) 代表取締役会長

経歴

 

日本福祉大学 社会福祉学部 卒業 (社会福祉士)
(元)社会福祉法人大豊福祉会 設立に参画 専務理事 統括施設長
(元)東城看護専門学校 講師
(元)駿台トラベル&ホテル専門学校 講師
(元)香川短期大学 講師
(元)日本工業大学 講師
(現)保健医療福祉研究会(HMS)研修講師、指導講師
(現)企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)専門家講師

専門分野

 

介護福祉事業再建、再生、収益力向上支援
人材採用、育成の仕組みづくり
事業運営、組織活性化の仕組みづくり
介護と障害の事業共生化支援
事業新設、運営軌道化支援
各種セミナー講師、研修講師、学校講師

事業精神

 

「コンサルである以前にソーシャルワーカー、経営者である以前に家族経験者」がモットー。誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するため、福祉分野の経営戦略支援を行います。福祉事業経営の革新を支援し、活力があり、収益力の高い事業経営を支援します。誰もが自分らしく活躍できる組織づくりに挑戦します。

コンサルティング経歴

 

「日本一予約の取れない福祉コンサル」と言われ、これまで2000事業以上のご支援経歴。介護と障害福祉事業の業績向上、組織活性化、人材戦略、など全方位的なご支援が特徴。未来戦略では介護と障害の共生化など、時代を牽引する経営戦略の策定に携わる。また日本で唯一、介護福祉事業の経営再建の専門家としても、全国の金融機関から依頼が多い。

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