介護経営プロフェッショナルコラム

介護経営のプロフェッショナルが法改正など専門的な内容を取り上げ解説!

COLUMN 02

どこよりも早い2027年介護保険法改正最新情報
〜訪問系分野編〜

川畑  誠志(かわばた せいじ)

ヒューマン ライフ グループ 代表

ヒューマンライフグループ代表。社会福祉士としての専門性を基盤に、福祉分野に特化した経営コンサルティングを展開。「日本一予約の取れない福祉コンサル」と言われ、これまで2000事業以上の支援経歴。介護と障害福祉事業の業績向上、組織活性化、人材戦略、など全方位的な支援が特徴。未来戦略では介護と障害の共生化など、時代を牽引する経営戦略の策定に携わる。また日本で唯一、介護福祉事業の経営再建の専門家としても、全国の金融機関から依頼が多い。

2024介護保険法改正の悪夢

2024年の介護保険法改正は異例の展開でした。感染症の影響により入所系事業の収益性が急速に低下し、それに対応すべく大幅なプラス改定を実施。しかし財源問題を理由に、どこか増やせば何か減らすしかなく、その対象が 訪問介護でした。
なぜか?理由は訪問介護事業の全国平均利益率が高かったから。一時的に入所施設の稼働が下がり、その反動で訪問系事業の稼働が上がるのは当然のこと。しかし、地域の中で丁寧に在宅生活者を支える訪問介護事業所は以前から厳しい経営環境にあり、 この報酬改定が大打撃になりました。
このように経営実態を正確に反映しない結果を招いた原因は、事業形態が多様化したことでした。非効率でも地道に地域で在宅者を支える事業所がある一方、住宅施設併設事業所は非常に効率よくサービス提供できる。また事業規模の大小によっても収益性が大きく変わります。訪問介護全体を一括りにした報酬改定 が行われたことで、在宅訪問の比重が大きい事業者ほど、経営に大きな影響を受ける結果を招きました。

では2027年法改正はどうなるのでしょう?本来は訪問介護事業を「在宅支援型」「施設併設型」など形態ごとに分類し、「小規模」「通常規模」「大規模」など規模別分類を入れ、「中山間地」「広域サービス型」などの加算累計も入れる、といった変更を加える必要がありますが、残念ながらこれらの議論は、現段階で行われていません。前回の反省に基づいたプラス改定となる公算は高いですが、それでもなお、在宅支援型の事業所にとっては、厳しさの残る改定になりそうだと危惧しています。

2027介護保険法改正議論の最新情報

とはいえ、厚労省も経営環境の厳しさを認識しており、その対応に向け様々な議論が進んでいます。主なポイントは3点です。いづれも在宅訪問が非効率な地域へサービス提供する事業者を支援する内容です。

  1. 新たな地域区分の創設
  2. 包括報酬制導入の検討
  3. 事業委託制導入の検討

新たな地域区分は、過疎化によって常勤専従要件のある専門資格保有者を事業ごとに配置し続けることが困難な地域に対する措置です。常勤専従要件の緩和や、報酬単価の変更などが検討されています。
包括報酬制の導入は、サービス提供地域の人口が少なかったり、あまりに広域すぎたり、サービス提供効率が低い地域に対して、市町村長が指定すれば訪問介護を月額包括報酬で提供できるという制度が検討されています。
事業委託型は、すでに訪問介護サービスがなくなってしまった地域に対して、市町村が、特定の事業所にその地域全体へのサービス提供を包括的に事業委託する形態が検討されています。
どの施策も的を得た重要な内容であり、実現が切望されます。一方これを実現すると報酬増加になりますが、財源の問題が発生します。そこで先行して議論が進んでいるのが、住宅型ホームの「囲い込み問題」です。
これは訪問系サービスの利用圧縮につながるだけでなく、ケアマネジメントの新類型創設、住宅型ホームの新類型創設など幅広い施策が検討されており、訪問看護の適正化も含め、重度者をどの施設でどんな体制で看るか?の問題に対する議論が続いています。

『通所+訪問』新サービスの可能性

訪問介護が影響を受ける制度変更は、これまで何度もありました。たとえば小規模多機能の創設、定期巡回型サービスの創設など。訪問介護的機能を備えた複合サービスが増え、競合してきました。また同時に住宅施設の増加によって、在宅の要介護者は減少傾向が続いています。
そして、27年制度改正に向け議論が始まるのが「通所+訪問」新サービス創設です。デイサービスとヘルパーの複合サービスです。月額包括報酬制での導入が検討されています。もし実現すれば既存の訪問系事業所にとって、新たな競合事業の誕生といえます。
具体的な内容の議論はこれからですが、元来から両サービスを利用している人にとって、非常に使い勝手の良いサービスになると思われ、同時に利用報酬額を引き下げる効果も見込まれます。詳細解説や評価は、もう少し議論が進んだ段階で、改めてお伝えしようと思います。

“大ピンチ”を“千載一遇のチャンス”に変える

このように2027年介護保険法改正は、訪問介護を取り巻く状況が大きく変化する見込みです。この変化は私たちにとって「大ピンチ」なのでしょうか?その答えは事業所ごとに異なります。3年ごとの制度改正は今後もずっと続く訳ですから、前向きに先手を打って対応する事業者には千載一遇のチャンスが訪れますし、それが間に合わなければ大ピンチにもなり得るのです。
私たちは制度事業である以上、3年ごとの法改正は避けられません。私たちの事業は、柔軟に、しなやかに、タイムリーに、変化対応し続ける姿勢が求められるのです。時代に合わせた進化と深化を続けることで、今後も事業経営は安定し成長が可能になります。
その変化の方向を見定めるには、制度改正議論の過程に注目し、今後どのような方向に進もうとしているかを見定めることが重要です。訪問介護がこれからも在宅要介護者を支える中心サービスであり続けるように、私たち事業者は弱音を吐かず、前向きな思考と言動で、力強い経営実態を作っていく努力を続けましょう。

2026年度中に必ず行うべきこと

次年度制度改正を前に、今年度私たちが取り組むべきことは何でしょうか?一番大切なことは、この1年でもう一回り力強い経営体制に成長させることです。現在の人員体制の維持を前提に、収益の最大化と、サービス提供の効率化を目指します。
今年度、よほど大きく収益が伸びない限り、人員体制は現状を維持しましょう。来期の制度変更の方向性が確定するまで慎重に様子を見る必要があります。同時に、現体制の中でより効率的なサービス提供を実現する努力をします。間接的業務を効率化したり、サービスの組み方やルートをもう一度見直しロスを減らします。そうして生まれてくる「空き枠」を活用して、新規利用者様を獲得する努力を続けます。
現体制のままで利益を生む努力をし、それを実現できれば、未来への挑戦のために先行投資が可能になります。こうやって来るべき制度改正を迎えうつ準備を進めましょう。今後の抜本的な成長戦略に着手する前に、筋肉質な経営体制を作っておかなければ前に進めないのです。
成長戦略の具体化には、いくつかのセオリーと方向性がありますので、また別稿で書かせていただきます。制度改正を前に2026年度は今後を左右する非常に重要な年です。1年後に私たちが「千載一遇のチャンス」を手にできるように、自力で切り開いてまいりましょうね!

ここ日和について詳しく知りたい方はこちら

訪問介護事業者の声から生まれた 訪問調整支援サービス

プロフィール


川畑  誠志

 

1974年(昭和49年)生まれ。香川県丸亀市在住。

現任

 

ヒューマン ライフ グループ  _代表
株式会社 人とくらしラボ(香川県高松市) 代表取締役
株式会社ヒューマンライフパートナーズ(高松市、丸亀市) 代表取締役
一般社団法人 日本研究開発機構(千代田区、市川市) 理事長
株式会社ヒューマンライフ出版(千代田区) 代表取締役会長

経歴

 

日本福祉大学 社会福祉学部 卒業 (社会福祉士)
(元)社会福祉法人大豊福祉会 設立に参画 専務理事 統括施設長
(元)東城看護専門学校 講師
(元)駿台トラベル&ホテル専門学校 講師
(元)香川短期大学 講師
(元)日本工業大学 講師
(現)保健医療福祉研究会(HMS)研修講師、指導講師
(現)企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)専門家講師

専門分野

 

介護福祉事業再建、再生、収益力向上支援
人材採用、育成の仕組みづくり
事業運営、組織活性化の仕組みづくり
介護と障害の事業共生化支援
事業新設、運営軌道化支援
各種セミナー講師、研修講師、学校講師

事業精神

 

「コンサルである以前にソーシャルワーカー、経営者である以前に家族経験者」がモットー。誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するため、福祉分野の経営戦略支援を行います。福祉事業経営の革新を支援し、活力があり、収益力の高い事業経営を支援します。誰もが自分らしく活躍できる組織づくりに挑戦します。

コンサルティング経歴

 

「日本一予約の取れない福祉コンサル」と言われ、これまで2000事業以上のご支援経歴。介護と障害福祉事業の業績向上、組織活性化、人材戦略、など全方位的なご支援が特徴。未来戦略では介護と障害の共生化など、時代を牽引する経営戦略の策定に携わる。また日本で唯一、介護福祉事業の経営再建の専門家としても、全国の金融機関から依頼が多い。

記事一覧へ
TOP