介護経営プロフェッショナルコラム

介護経営のプロフェッショナルが法改正など専門的な内容を取り上げ解説!

COLUMN 03

希望と可能性に満ちた
訪問介護事業の育て方

川畑  誠志(かわばた せいじ)

ヒューマン ライフ グループ 代表

ヒューマンライフグループ代表。社会福祉士としての専門性を基盤に、福祉分野に特化した経営コンサルティングを展開。「日本一予約の取れない福祉コンサル」と言われ、これまで2000事業以上の支援経歴。介護と障害福祉事業の業績向上、組織活性化、人材戦略、など全方位的な支援が特徴。未来戦略では介護と障害の共生化など、時代を牽引する経営戦略の策定に携わる。また日本で唯一、介護福祉事業の経営再建の専門家としても、全国の金融機関から依頼が多い。

2026年度は勝負の1年

前回のコラムで書いた通り、2027年介護保険法改正で訪問介護事業の経営環境が大きく変化する可能性が高くなっています。だからこそ、2026年度はそれを迎えうつ準備をする大切な年です。事業育成と組織活性化に取り組み、力強い経営体質を作ることが必須。2027年の大転換に備えましょう。

組織活性化、チームワーク向上、スタッフのやる気を引き出す

組織の活性化は「仕組みづくり」を通して実現できます。その基本は1ヶ月ごと運営の流れの仕組みと定着化です。私はこれを「月次マネジメントサイクル」と呼びます。

  1. 毎月の幹部会議(戦略会議)、役職者会議(戦術会議)
  2. 毎週の部署ごとミーティング
  3. 毎日の朝礼や終礼

この1ヶ月の流れを固定化し定着浸透していきます。ほとんどの現場で最初は「忙しくてできない」と言われますが、それは逆で「ミーティングしないから足並み乱れて忙しくなる」と考えるべきです。大切なのは「会議やミーティングは優先順位1番」と定義し、できない理由を挙げるのでなく、どうすればできるか考えることです。定例開催のたに様々な工夫をし、仲間たちを巻き込みながら、最後は「自分一人でもやる!」という姿勢を示すことです。
幹部会議で戦略や方向性を定め、役職者会議は月次実績報告をもとに具体的対策を落とし込みます。週間ミーティングでは進捗管理と職場改善の報連相をします。毎日の朝礼は1日の流れを確認し今日のゴール設定をし意思統一します。
マネジメントサイクルの定着によって、現場の一人ひとりが主体的に働く職場づくりを実現できます。また情報の共有・見える化の頻度を増やし、明確な目標と具体的な計画を現場に落とし込んでいく流れを作ります。

「働きがいある職場」とは、忙しくてもチームワーク良く、足並み揃えて働けるチームづくりです。その実現には頻回で密度の濃いコミュニケーションが欠かせません。それを役職者個人のスキルに頼るのではなく、職場の仕組みとして落とし込むことで、どんなキャラクターの役職者であっても結果を作れる職場を実現できます。収益を向上させ、スタッフをモチベートし、チームワークを高める、いわゆる「事業育成」に取り組む上で、その土台として組織活性化は必須の取り組みです。

お客様づくりの成果を最大化する具体策

事業育成で最大のポイントはお客様を獲得する力を付けることです。特に対外的なアプローチを通して、関係機関からの利用紹介獲得を増やすことができれば、収益が力強く伸びていきます。
新規利用者の獲得は難易度の高いテーマですが、もっとすぐ取り組めるポイントがあります。それは既存利用者様へのアプローチです。対象者の現在の様子をよく見て、利用頻度やプラン内容は適切か?そもそも介護度は適正か?現在のサービス内容以外に自事業所が提供できるサービスはないか?利用キャンセルに対して代替サービスを提供できているか?など、既存利用者様へのさらなるお役立ちを通して、収益(利用客数)を向上させることは可能です。利用者様一人一人に丁寧に対応する姿勢が、自事業所の評価を高め、ケアマネとの信頼関係を深め、結果として新規利用者の紹介獲得にもつながります。
新たな紹介獲得ルートを作る取組みは、ABC分析が重要です。関係機関を3つのランクに分類し、それぞれに合ったアプローチをします。

  1. A 紹介をいただいている、ご利用いただいている、深い関係性である
  2. B 良い関係性である、話しやすい、理解いただけそうだ
  3. C うまく話せない、関係構築しづらい、前向きに聞いてもらえない

自サービスに空き枠ができ、すぐ利用者獲得したいときは、AとBの上位へ頻回に訪問や連絡を取ります。春や秋など新規利用者を獲得しやすい季節も、この関係先にアプローチし、効率良くより高い成果を作る取り組みをします。
逆に、獲得を急がなくてよい時、関係先を広げたい時、新規利用を獲得しづらい真夏や真冬は、CやBの下位に向かって丁寧にアプローチし、関係構築を進めます。このように自社の状況や季節によって、アプローチする相手先を変えながら、徐々に効果性を高めていく意識を持って動くことが重要です。
危険な勘違いの例があります。「このケアマネさんは3人も紹介いただいている。どこよりも私と深い関係だから、新規希望者がいれば紹介くださるはず」という思い込みです。でもこのケアマネは40人以上担当してますから、他社に25人以上依頼しているはずなのです。丁寧にコミュニケーションしていけば、さらに数人は自社への紹介が増える可能性が高いといえます。油断は禁物なのです。
お客様づくりを効率化するには、チラシや機関紙などのツール作成が重要です。AIを活用し効率的に効果性の高いツールを作成可能です。非常に安価なネット印刷を活用することで費用の効率化も可能です。また最近はSNSを活用した情報発信が盛んになりました。やってて当然になったといえます。できそうなことから順に、取り組みながらスキルを磨いていくことをお勧めします。私も独学で開設したYouTube番組の登録者が6万人を超えました。継続が重要です。

業務効率向上が最重要ポイントであり必須

このような事業育成を進める上で、今までの業務全てを完璧にこなしながら、さらに新たな取り組みを付け加えることは不可能です。誰もが今現在、自分にできる目一杯の時間と労力を注いで仕事をしています。コップの水に例えると「中の水が満水で、表面張力で膨れ上がっている」ような状態。新たな水を注ぎ入れようとしても、溢れ漏れるだけです。業務整理をし、コップの容量に余力を作ってから、新たな水を入れることしかで見ません。
管理者やサ責は、様々な書類作成や管理的業務をたくさん抱え、多くの時間を費やしています。本来なすべき事業育成に労力を割けな区なっている場合も多い。そんな状態では事業は先細ります。いくら目の前の業務をこなすことを頑張っても、将来に向けた事業育成ができていなければ、結果として自分と部下の仲間たちを幸せにすることはできないのです。
今はさまざまな便利ツール・自動化ツールが登場しています。それらを活用し、まずは自身の業務効率化 に取り組みましょう。また共に働く仲間たちを頼り、多人数で役割分担し、チームで業務を進めていきましょう。

2026年度を走り切る、成果を出す年に

2026年は訪問介護事業所の将来を左右する大切な1年です。今まで苦手と思ってきたAI活用や業務の近代化は、避けて通れない時代になりました。逆にいうと、今年やれずして来年以降に取り組めるタイミングが来るとは考えづらいと思います。
この1年をいかに走り切って、1年後に良いスタートを切れるか?今まだ法改正の議論途中ですので、明確に1年後が見えていませんが、今から準備を進めていきましょう。このコラムを通して、一緒に進んで行けたら良いなと思っています。これからも、訪問介護事業を担う皆様へのお役立ち情報を、発信していきたいと思います。

ここ日和について詳しく知りたい方はこちら

訪問介護事業者の声から生まれた 訪問調整支援サービス

プロフィール


川畑  誠志

 

1974年(昭和49年)生まれ。香川県丸亀市在住。

現任

 

ヒューマン ライフ グループ  _代表
株式会社 人とくらしラボ(香川県高松市) 代表取締役
株式会社ヒューマンライフパートナーズ(高松市、丸亀市) 代表取締役
一般社団法人 日本研究開発機構(千代田区、市川市) 理事長
株式会社ヒューマンライフ出版(千代田区) 代表取締役会長

経歴

 

日本福祉大学 社会福祉学部 卒業 (社会福祉士)
(元)社会福祉法人大豊福祉会 設立に参画 専務理事 統括施設長
(元)東城看護専門学校 講師
(元)駿台トラベル&ホテル専門学校 講師
(元)香川短期大学 講師
(元)日本工業大学 講師
(現)保健医療福祉研究会(HMS)研修講師、指導講師
(現)企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)専門家講師

専門分野

 

介護福祉事業再建、再生、収益力向上支援
人材採用、育成の仕組みづくり
事業運営、組織活性化の仕組みづくり
介護と障害の事業共生化支援
事業新設、運営軌道化支援
各種セミナー講師、研修講師、学校講師

事業精神

 

「コンサルである以前にソーシャルワーカー、経営者である以前に家族経験者」がモットー。誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するため、福祉分野の経営戦略支援を行います。福祉事業経営の革新を支援し、活力があり、収益力の高い事業経営を支援します。誰もが自分らしく活躍できる組織づくりに挑戦します。

コンサルティング経歴

 

「日本一予約の取れない福祉コンサル」と言われ、これまで2000事業以上のご支援経歴。介護と障害福祉事業の業績向上、組織活性化、人材戦略、など全方位的なご支援が特徴。未来戦略では介護と障害の共生化など、時代を牽引する経営戦略の策定に携わる。また日本で唯一、介護福祉事業の経営再建の専門家としても、全国の金融機関から依頼が多い。

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